20.辞めたい、と言えなくて

20代でSEをしていたある日、誰とも話をすることなく1日を過ごしたことがありました。

もともとタバコを吸わない私は、日中、トイレ以外で席を立つことはほとんどありません。

一日中パソコンに向かう毎日。
そしてある日、朝夕の挨拶をした以外で、誰一人とも話をすることなく過ごした日がありました。

その時に思ったのです。
「このままパソコンばかりを相手にしていたら人間としておかしくなってしまう」と。

そして、自分のやっていることが上司に評価されず、査定に対して不満を抱えていた私。

もともとなりたくてなったSEでしたが、もう情熱も消え、「SEを辞めたい。他の仕事がしたい」と考えるようになりました。

ところが、当時全部で20名くらいの小さな会社。
周りの人たちはとても良い人たちばかりで、人間関係には全く問題がなかったので「辞めたい」と言う勇気がありませんでした。

そんなこんなでもんもんとした日々を過ごし、どれくらい経ったでしょうか。
ある日曜日の夜、ついに決心をします。
「明日、月曜日、会社に行ったら上司に”辞めたい”って言おう」と。

そして翌日、会社に行くと、いきなり全員招集が掛かりました。

そして社長から「購買部の○○さんが、脳溢血で倒れ入院しました。意識がいつ戻るかわからないし、戻ったとしてもいつ職場に復帰できるか分かりません。その為、会社全体の編成を変えます」とのことでした。

そして私はそこであるプロジェクトを1人で任されることになります。
「この状況じゃ、”辞めたい”なんて言えない…」

結局、それから1年間、私は「辞めたいのに辞められない」という思いを抱えながら、仕事を続けました。


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